2014年10月14日火曜日

皆既月食中の月面から地球を見ると

皆既月食で見ることのできる赤い月は、

太陽光のうち、地球の大気を経由したものだけが月面にとどくことで、赤く染まっている。

その赤は夕焼けの色で、地球上のすべての日没地点の空を染めている赤だ。

地平線の下に沈んでしまった夕陽の残光は、そのとき遠く月まで届いて赤く照らしている。


月食の図解 (公転軌道を上から見た様子。距離と大きさの関係は滅茶苦茶)







もしも赤く染まった皆既月食中の月面から地球を見てみれば、

赤く輝く大気のリングが見えるはずだ。



それは、いったいどんな風に見えるだろう?



上の想像図のような、月から見た「ダイヤモンドリング」は、
実際に平成21年2月10日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の月周回衛星、「かぐや(SELENE)」 が「半影月食」中に撮影している。 
http://www.jaxa.jp/press/2009/02/20090218_kaguya_j.html 

このときは「半影月食」で、月が赤く染まるまでには至っておらず、
圧倒的な太陽光の下で、大気を通した赤い光は見ることはできなかった。 



さらに「食」が進行して、太陽が地球の影にかくれると、どうなるだろうか。

皆既中の赤い月は、きっとこんな赤い地球大気のリングに照らされているのではないだろうか。



そして次の疑問。 皆既中の赤いリングは、どのくらい明るく見えるのか?


下の写真は、2011年12月10日の皆既月食の、皆既中に撮影したもの。



この皆既中の月の明るさは、オリオン座の明るい星々よりもずっと明るく見える。

その差はどのくらいだろうか?


皆既中の月の明るさを、オリオン座の左足にあるリゲル(0等星)との光度と比べて、
ザッと4等級(約22倍)として、-4等級と仮定してみる。

すると、満月(-12.7等級)にくらべて、8.7等級暗い(約800分の1の明るさ)ということになる。

太陽の直射日光(-27.6等級)が照らしている満月と、
地球大気を通った光が照らしている皆既中の月(X等級)との明るさに800倍の差があるとしたら、
月を照らしている光源にも、800倍の差があるはずだ。

 X = -27.6 + 8.7 = -18.9

単純計算の結果、
皆既中の月を照らす地球大気のリングの明るさは、-18.9等級になる。

これは、地球から見た満月の明るさ-12.7等級の100倍以上の明るさだ。


相当にいい加減な見積もりだけれども、皆既中の月から見る地球大気のリングは、
地球から見た満月より、少なくとも数十倍は明るく見えそうだ。


満月よりもずっと明るく輝く赤いリング。
ちょっと想像しずらいけれども、ステージ上で赤いスポットライトを浴びているような状況だろうか。


上は、地球大気リングと、満月の明るさと大きさの比較想像図。


太陽がどんどん欠けていって、
(太陽光よりはずっと弱いものの)まばゆく輝く赤いリングが天に現れる。

こんな光景が、月面では皆既月食のたびに
誰にも見られることのないまま、
きっと繰り返されている。





2014年2月28日金曜日

太陽系の大規模平面構造、土星の輪

太陽系で最も広い平面状の構造は、土星の輪ではないだろうか。

その広さは、明るく見えるA~C環だけでも、面積にして約413億㎢。

地球の全表面積は5億1000万㎢なので、ざっとその80倍以上の広さの平面だ。

土星の輪にじゅうぶん近づけば、消失点が地球直径の数倍以上先という地平線、

モンゴルの大平原も、太平洋の大海原も消し飛んでしまうような、
究極の地平線が見えるのではないか?

そんなことを考えながら描いた、たぶん高校の頃のイラストが発掘された。


土星表面の輪の影がほぼ赤道にあるということは、 
輪にあたる太陽光はきっととても少なく、暗いだろう。

なので、輪がこのように見えているような視野では、土星表面は明るすぎて白く飛んでいるはず。


ということを考えたような、考えていないような…。



2014年2月19日水曜日

北欧三国の位置関係などを把握してみる

ノルウェー、 スウェーデン、 フィンランド。

いわゆる北欧三国。

順番や配置が分からない人も多いのではないだろうか?

そこで、どれがどこで、どんな国なのか?を図にしてみた。


注)
図中の画像やロゴは、
「誰でも知っていそうなこと」を探して配置したもの。
それぞれの国内での地理的位置を示すものではありません。


ちなみにスウェーデン上方の男性は仏革命のころの貴族、フェルゼン伯爵。



2014年1月1日水曜日

太陽系のお月見

太陽系の8つの惑星のうち、
6つの惑星(水星と金星以外)には月があり、そして冥王星にも月がある。
しかも一つしか月がないのは地球だけで、
木星以遠の惑星たちには立派な衛星がいくつもあるのが普通。

では、他の星で見る夜空には、どんな月が浮かんでいるのだろうか?
地球の月とくらべて、どんな大きさ、明るさで輝いているのだろうか?

想像しているうちに、他の星でのお月見事情を知りたくなってきたので、
それぞれの星の表面から見た、主だった衛星の大きさと明るさを計算し、まとめてみた。

図は左から右へ、太陽から遠ざかるように惑星が並んでいる。
それぞれの惑星から見たそれぞれの衛星は、下から上へいくにつれて主星から遠くになるよう並んでいる。
衛星たちのサイズは、それぞれの惑星表面から見た大きさを同一の比率で示している。直径が大きくても、遠ければ小さく暗く見える。
細かくいうと赤道上で最も衛星に近づいたとき(南中時)を想定。
地球の月だけは月齢を3とおり示してあるけれど、他の衛星は写真の写り方に関わらず満月時を想定している。
数値のうち、等級と満月を100%としたときの明るさは、地球の月以外は計算によるもの。(詳しくは最下欄)



[結果発表]

地球の月は、明るさではぶっちぎりで太陽系最高。
2位のイオ(木星)の5倍もの明るさで輝いていることが分かった。

ただし、見た目のサイズでは冥王星のカロンが断トツで1位。
木星のイオもわずかに月より大きく見えるので、大きさでは太陽系第3位だった。

総合評価として、お月見には地球の月が太陽系最高といってきっと間違いないだろう。



[地球の月]

明るさで最高の月も、じつは太陽系の衛星のなかでは「暗い」天体で、反射能は下から数えた方が早い。
しかしそれでも月は太陽光を太陽系で一番近くで浴びている衛星なので、
受け取る光が多いぶん反射する光も強いことが勝因となっているようだ。



[火星の月]

火星のフォボスは地球の月の半分以下の太陽輻射しか得られないうえ、
直径22kmしかない岩石衛星だけれど、主星からの距離は[地球-月]の1/100ほどしかなく、
そのぶん明るく輝いている。 表面の輝度では太陽系最高クラスになるはずだ。
公転速度、大きさ、明るさでは、月と国際宇宙ステーションの中間くらいの存在なのではないだろうか。



[木星、土星の月]

木星や土星の氷衛星たちは高い反射能を誇るけれども、
地球の月にくらべると太陽からの距離はそれぞれ約5倍、10倍遠いので、
届く光はその二乗に反比例し、数%に落ちてしまう。
そのため、惑星クラスの直径を誇るガリレオ衛星も、せっかくの大きさや高い反射能を持ちながら、
月の明るさの1/5~1/100程度の範囲にとどまらざるを得ない。



[天王星、海王星の月]

これらの外惑星は地球の数百分の1程度の光しかとどかず、衛星たちの明るさも数百分の1。
地球の三日月ほどのささやかな光しか放たないので、
小ぶりな「満月」が幾つかならんでいても、まわりの星がかき消されることはなさそうに思える。


[冥王星のカロン]

冥王星のカロンはなんといっても視直径で太陽系の王者だろう。
受け取る太陽輻射は月の1/1000以下にもかかわらず
主星からの距離の近さで明るさを稼いでいる。
冥王星地表から高度18000kmに直径1200kmのカロンが浮かんでいると満月が7個並んだより大きくなる。
その大きさは、手を伸ばして親指と人差し指で輪を作ると、その中にすっぽり入るくらいだ。

冥王星とカロンだけは、まだ惑星探査機が到達していないので、まだ誰もその姿を高解像度で見たことはない。
しかし2015年の2月には、ついにNASAの太陽系外縁天体探査機ニュー・ホライズンズが冥王星系に到達する。
どうか故障などなく無事に画像を送ってくれますように…。