2014年1月1日水曜日

太陽系のお月見

太陽系の8つの惑星のうち、
6つの惑星(水星と金星以外)には月があり、そして冥王星にも月がある。
しかも一つしか月がないのは地球だけで、
木星以遠の惑星たちには立派な衛星がいくつもあるのが普通。

では、他の星で見る夜空には、どんな月が浮かんでいるのだろうか?
地球の月とくらべて、どんな大きさ、明るさで輝いているのだろうか?

想像しているうちに、他の星でのお月見事情を知りたくなってきたので、
それぞれの星の表面から見た、主だった衛星の大きさと明るさを計算し、まとめてみた。

図は左から右へ、太陽から遠ざかるように惑星が並んでいる。
それぞれの惑星から見たそれぞれの衛星は、下から上へいくにつれて主星から遠くになるよう並んでいる。
衛星たちのサイズは、それぞれの惑星表面から見た大きさを同一の比率で示している。直径が大きくても、遠ければ小さく暗く見える。
細かくいうと赤道上で最も衛星に近づいたとき(南中時)を想定。
地球の月だけは月齢を3とおり示してあるけれど、他の衛星は写真の写り方に関わらず満月時を想定している。
数値のうち、等級と満月を100%としたときの明るさは、地球の月以外は計算によるもの。(詳しくは最下欄)



[結果発表]

地球の月は、明るさではぶっちぎりで太陽系最高。
2位のイオ(木星)の5倍もの明るさで輝いていることが分かった。

ただし、見た目のサイズでは冥王星のカロンが断トツで1位。
木星のイオもわずかに月より大きく見えるので、大きさでは太陽系第3位だった。

総合評価として、お月見には地球の月が太陽系最高といってきっと間違いないだろう。



[地球の月]

明るさで最高の月も、じつは太陽系の衛星のなかでは「暗い」天体で、反射能は下から数えた方が早い。
しかしそれでも月は太陽光を太陽系で一番近くで浴びている衛星なので、
受け取る光が多いぶん反射する光も強いことが勝因となっているようだ。



[火星の月]

火星のフォボスは地球の月の半分以下の太陽輻射しか得られないうえ、
直径22kmしかない岩石衛星だけれど、主星からの距離は[地球-月]の1/100ほどしかなく、
そのぶん明るく輝いている。 表面の輝度では太陽系最高クラスになるはずだ。
公転速度、大きさ、明るさでは、月と国際宇宙ステーションの中間くらいの存在なのではないだろうか。



[木星、土星の月]

木星や土星の氷衛星たちは高い反射能を誇るけれども、
地球の月にくらべると太陽からの距離はそれぞれ約5倍、10倍遠いので、
届く光はその二乗に反比例し、数%に落ちてしまう。
そのため、惑星クラスの直径を誇るガリレオ衛星も、せっかくの大きさや高い反射能を持ちながら、
月の明るさの1/5~1/100程度の範囲にとどまらざるを得ない。



[天王星、海王星の月]

これらの外惑星は地球の数百分の1程度の光しかとどかず、衛星たちの明るさも数百分の1。
地球の三日月ほどのささやかな光しか放たないので、
小ぶりな「満月」が幾つかならんでいても、まわりの星がかき消されることはなさそうに思える。


[冥王星のカロン]

冥王星のカロンはなんといっても視直径で太陽系の王者だろう。
受け取る太陽輻射は月の1/1000以下にもかかわらず
主星からの距離の近さで明るさを稼いでいる。
冥王星地表から高度18000kmに直径1200kmのカロンが浮かんでいると満月が7個並んだより大きくなる。
その大きさは、手を伸ばして親指と人差し指で輪を作ると、その中にすっぽり入るくらいだ。

冥王星とカロンだけは、まだ惑星探査機が到達していないので、まだ誰もその姿を高解像度で見たことはない。
しかし2015年の2月には、ついにNASAの太陽系外縁天体探査機ニュー・ホライズンズが冥王星系に到達する。
どうか故障などなく無事に画像を送ってくれますように…。





ここで計算に使ったパラメータは、
①それぞれの星に届く太陽輻射の比率(公転軌道半径から算出)

②衛星のアルベド(反射能/幾何学的アルベド)
③主星から衛星までの距離(軌道半径)
④衛星の直径
の4つで、これを月との比較から算出しました。

厳密な計算ができる知識もないので、

ここでの算出結果はおおまかな予測の域を出ていないことを了解のうえご覧ください。
(誤差は数倍以内には収まっていると思いますが)

ビジュアルでの明るさ表現も同様で、
既存の画像をいじって輝度を再現する方法が分からなかったため
「こんな感じじゃないかなあ」くらいな精度だと思ってください。